「高値圏」は、いつの時代も存在していた
株式市場の歴史を振り返ると、「今は高すぎる」という声は何十年も前から繰り返されてきました。1990年代後半のITバブル前夜も、2010年代の量的緩和相場でも、同じような議論がありました。
しかし長期でチャートを見ると、市場はその「高値」を新たな起点にしながら成長を続けてきたことがわかります。もちろん途中には大きな下落もありました。ただ、その下落から回復するたびに、以前の「高値」は中間地点になっていきました。
もちろん、過去の実績が将来を保証するわけではありません。ただ、「高値だから買えない」という感覚は、データで見ると必ずしも正しくないことがわかります。
株価の上昇は「バブル」だけではない
最近の日本株高を語るとき、円安効果や海外投資家の資金流入ばかりが注目されます。確かにそれらは無視できない要因です。しかし同時に、企業の稼ぐ力の改善も見逃せません。
東証が推し進めてきたPBR1倍割れ企業への改善要求、ROEを意識した経営へのシフト、株主還元の拡大——こうした変化が、ゆっくりと日本企業の「稼ぐ力」を底上げしてきました。バブル期の熱狂とは、構造が少し違うのです。
「今は高すぎる」という直感が、投資の機会を奪う
行動経済学の研究では、人は損失に対して利益の約2倍の感情的反応を示すことが知られています(損失回避バイアス)。これが「高値での買い控え」という行動につながります。
「もう少し下がったら始めよう」と待つあいだにも、時間という資産は使われています。積立投資の最大の味方は「時間」であり、タイミングを読もうとするほどその恩恵が薄れていきます。
それでも「高値掴み」の不安は正常です
とはいえ、高値圏での投資に不安を感じること自体は、とても自然な感覚です。その感覚を否定する必要はありません。大切なのは、その不安に振り回されずに、自分に合ったペースで続けることです。
- 一度に全額投資するのではなく、分散して少しずつ買い付けていく(ドルコスト平均法)
- 投資額は「生活に支障のない余剰資金」に限定する
- 下落しても動じないよう、長期(10年以上)を前提にした資産配分を考える
- 個別株よりも分散の効いたインデックスファンドを軸に据える
- 為替リスクも含め、国内・海外のバランスを意識する
これらは「高値だから」というよりも、どんな局面でも有効な基本原則です。市場の高値や安値を正確に読める人は、プロの投資家にもほとんどいません。それよりも、ルールを決めて淡々と続けることのほうが、長期的には有効であることが多いです。
