高市首相の台湾有事答弁がもたらした日中観光業への深刻な打撃

高市首相の台湾有事答弁がもたらした日中観光業への深刻な打撃
まぁ、そこまでにはならないけど

近年、ようやく回復の兆しを見せていた日中間の観光ビジネスが、再び大きな試練に直面しています。共同通信の報道によると、2025年11月に高市早苗首相が行った台湾有事に関する答弁をきっかけに日中関係が急速に悪化し、日本人の中国旅行および中国人の訪日旅行がともに大幅に減少しているとのことです。

新型コロナウイルス禍という長いトンネルを抜け、中国政府による日本人へのビザ免除措置なども再開され、「これから」というタイミングだっただけに、現地の観光業者や関係者が受けたショックは計り知れません。

観光業界を襲う「トリプルパンチ」の実態

日本の大手旅行会社の担当者は、現在の状況を「大逆風」と表現しています。中国旅行の客数は2025年時点でコロナ前(2019年)の半分程度まで回復し、旅行商品の一層の拡充を図っていた矢先の出来事でした。現在、現場は以下の3つの要因による深刻な打撃を受けています。

  • 日中関係の悪化に伴う「中国旅行熱」の低下(安全性を不安視したツアーキャンセル)
  • 航空便の相次ぐ減便による座席不足(急な欠航によるツアー中止)
  • 中東情勢の緊迫化に伴う燃料費の上昇

数字に表れる影響の大きさ

今回の事態による影響は、旅行のキャンセル率や航空便の欠航率といった具体的な数字にも顕著に表れています。上海などの主要都市や現地ガイドの状況をまとめると以下のようになります。

対象・項目主な影響と現状
上海の日本人団体ツアー2025年11月以降、約半数がキャンセル。日本人客数は前年比7割減。
中国本土発の日本便(2026年3月)2,691便が欠航。欠航率は約50%に達する。
現地日本語ガイド(北京・西安など)直行便の欠航やツアー中止により、収入が9割減少。修学旅行のキャンセルも発生。
「コロナ禍で多くの日本語ガイドが職を離れてしまいました。このまま日本人客が来なければ、新しい日本語ガイドが育たず、将来的には現地ガイド付きの団体ツアー自体が企画できなくなる恐れがあります」

観光業者にとっての「震度7の余震」

日本へのインバウンド観光客(あるいは日本からのアウトバウンド旅行先)は、マクロな視点で見れば他国からの観光客でカバーし合える部分もあるかもしれません。しかし、「中国で日本人を専門にビジネスを行ってきた事業者」にとっては、代替の利かない死活問題です。

コロナ禍という未曽有の危機を何とか耐え抜き、ビザ免除などの追い風を受けて「ようやくこれから巻き返せる」と期待した矢先のこの冷え込みは、彼らにとってまさに「震度7の余震が再び襲ってきた」ような、絶望感に近い衝撃であると想像されます。

実は、私の職場も中国関連の業務を行っているため、今回の影響を少なからず受けています。民間レベルの日中交流イベントなども、中国側の「自己審査(配慮や自粛)」によって延期やキャンセルになるケースが相次いでおり、個人的にも非常に苦慮しています。ただ、現場で直接顧客を失い、収入が9割減となっている現地の観光業者やガイドの方々の困窮に比べれば、まだマシな方だと言わざるを得ません。

おわりに

日中関係の悪化という政治的な荒波の中で、民間の草の根の交流や、それを支えるビジネスが真っ先に犠牲になってしまう現状は非常に残念です。現時点で状況が好転する明確な兆しは見えませんが、これ以上現場の痛みが深くならないよう、そして再び安心して往来ができる日が来るよう、今後の好転を祈るばかりです。