今回の改正で、在留資格の「更新」と一部の「変更」手続きにかかる手数料の上限が大きく引き上げられました。政府の説明では、英国・米国・オーストラリアなど主要先進国の水準にそろえ、「適正なコスト」を徴収するためだとされています。同時に、「経済的に困難な者」に向けた減免申請の規定も用意されています。
もっとも、「上限10万円」は法律が認める最大値であって、実際にいくら徴収するかは別途、政令で定められることになっています。今のところ具体的な金額は公表されていません。それでも、これだけ高い上限が設定されたという事実そのものが、今後の方向性を示しているように思います。
政府が根拠とする「国際標準」とは、実際どの程度のものなのでしょうか。主要国のビザ・在留更新手数料のおおまかな水準をまとめると、次のようになります。
| 国 | 種別 | 費用(円換算・概算) |
|---|---|---|
| 🇺🇸 アメリカ | グリーンカード更新 | 約 ¥110,000 |
| 🇬🇧 イギリス | 在留更新 | 約 ¥150,000 |
| 🇦🇺 オーストラリア | 技術移民ビザ | 約 ¥45,000 |
| 🇯🇵 日本(新上限) | 在留資格更新 | 最大 ¥100,000 |
| 🇯🇵 日本(現行) | 在留資格更新 | 約 ¥3,000 |
数字だけを見れば、これまでの3,000円は先進国の中でもかなり低い水準だったのは確かです。「国際標準に合わせる」という説明は、その意味では筋が通っています。ただ、この表では上限の10万円どうしを比べていますが、永住申請の場合は実際の上限が30万円とされており、その点を抜きにして単純に比較するのは少し公平さを欠くかもしれません。
この問題を自分とは無関係だと言い切れないのは、正直なところです。在日外国人として直接影響を受ける立場にあるので、自分の見方にはどうしても偏りがあることを、最初に認めておきたいと思います。
それでも、自分個人の損得をいったん脇に置いて考えても、この政策にはいくつか引っかかる点が残ります。
- 先進国の手数料水準との整合
- 入管行政サービスの質の向上
- 減免規定による弱者への配慮
- 上限が高すぎて透明性が低い
- 減免申請の運用詳細が不明
- 中低所得の在日外国人への影響が大きい
- 改正のタイミングに政治的な意図を感じる
一番不安に感じるのは、値上げの幅そのものよりも、「どこまで上げるか」が行政の裁量にゆだねられていて、在留者の側にはほとんど交渉の余地がないという点です。減免申請の仕組みは聞こえとしては合理的ですが、申請の要件や必要書類、実際の通過率といった肝心な部分は、まだはっきりしていません。
この改正を、民族主義的、あるいは大衆迎合的な政策だと見る向きもあります。外国人に負担を求める施策は国内政治では支持を得やすい一方で、そのコストを実際に負うのは外国人居住者の側だ——そういう構図があるのは確かです。
ただ、すべての動機をそこに帰着させたいわけではありません。行政側のコストが実在するのも事実ですし、これまでの手数料が低すぎたというのもそのとおりだと思います。政策に合理的な面と懸念すべき面が同時に存在することは、それ自体矛盾ではありません。
それでも伝えておきたいのは、この件で不安なのはお金の問題だけではないということです。ここで暮らす外国人として、「徴収される対象」として扱われているという感覚——意見を聞いてもらえる立場にはない、という感覚——があります。
法案は成立しましたが、具体的な施行細則と実際の手数料額は、今後の政令公布を待つ必要があります。今できることは、政令の動向を継続的に確認すること、自分の在留資格区分ごとの変更点を把握しておくこと、そして減免申請の要件をあらかじめ理解しておくことくらいだと思います。
大きな結論があるわけではありません。ただ、言っておく価値があると思ったことを、静かに、でも正直に言葉にしておきたいと思いました。
本記事は「出入国管理及び難民認定法」に関する報道をもとに整理したものです。実際の手数料額は政令によって定められます。減免制度の詳細は別途公表される予定です。




