「Football」と名のつくスポーツは世界に6種類ある——それぞれの起源と歴史

Types of football sports world
ワールドカップが始まった。今大会は早朝キックオフが多く、ようやく見やすい時間帯になってきた。試合を眺めながら、ふと気になってしまった——「Football」という言葉は、世界で一体いくつの競技を指すのだろうか。てっきり世界共通の一種類だと思っていたのだが、調べてみると「Football」と名のつくスポーツは六種類も存在し、それぞれに独自のルールと歴史を持っていた。備忘録としてまとめておく。

なぜひとつの言葉がこれほど多くのスポーツを指すのか

「Football」という名称の由来には、主に二つの説がある。ひとつは「足でボールを蹴る」競技であること、もうひとつは「馬に乗らず徒歩で行う」スポーツであること(騎馬の貴族競技と区別するために)。この条件を満たす球技はどれも「Football」を名乗る傾向があったため、19世紀のイギリスで各パブリックスクールがそれぞれ独自のルールを整備し始めた。やがてそのルールが移民や植民地化とともに世界中に広まり、各地で根を張り、今日の六種類の競技へと分化していった。

⚽ 協会式フットボール(Association Football / Soccer) 発祥:イギリス 1863年
協会式フットボールの試合

世界で最も普及しているスポーツで、ファンは40億人を超えるとも言われる。4年に一度のワールドカップはその象徴だ。1863年にイングランド・フットボール協会(FA)が設立され、「手でボールを触れてはいけない」という核心的なルールが公式に定められた。これによりラグビーとの分岐が明確になった。「Soccer」という呼び名は、「Association」の略語「Assoc.」が口語化された「Assoccer」に由来するとされ、アメリカ発の言葉ではなく、れっきとしたイギリス発祥のスラングだ。

🔗 国際サッカー連盟(FIFA)公式サイト →
🏉 ラグビー(Rugby Football) 発祥:イギリス 1823年(伝説)
ラグビーの試合

1823年、ラグビー校(Rugby School)の生徒ウィリアム・ウェブ・エリスがフットボールの試合中にルールを無視してボールを抱えて走ったことが起源とされる——ただしこれは後世に神話化された「反則」の話であり、史実としての根拠は薄い。現在はラグビーユニオン(15人制)とラグビーリーグ(13人制)に分かれ、それぞれ独自のルールと大会体系を持つ。イギリス、南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリアでは根強い人気を誇る。

🔗 ワールドラグビー(World Rugby)公式サイト →
🏈 アメリカンフットボール(American Football) 発祥:アメリカ 19世紀後半
アメリカンフットボールの試合

アメリカでは「Football」といえば、まずこの競技を指す。逆に丸いボールを蹴るほうは「Soccer」と呼ばれる。ラグビーから派生したこの競技に独自の形を与えた人物が、ウォルター・キャンプ(Walter Camp)だ。「ダウン制」と「タッチダウン」による得点ルールを導入し、独自の戦術体系を確立させた。スーパーボウルはアメリカで最も視聴者数の多い単一スポーツイベントとして今も君臨している。

🔗 NFL(全米フットボールリーグ)公式サイト →
🦘 オーストラリアンフットボール(Australian Rules Football) 発祥:オーストラリア 1858年
オーストラリアンフットボールの試合

六種類のFootballの中でも、最も視覚的なインパクトが強い競技だ。巨大な楕円形のクリケット場で18人の選手が走り回り、ボールを足で蹴ることも手でパスすることも、高く上がったボールをキャッチ(「マーク」と呼ぶ)することも許される。トム・ウィルズ(Tom Wills)が1858年に考案し、当初はクリケット選手の冬季体力維持を目的としていた。オーストラリアでは「AFL」の略称が広く知られ、ファンは親しみを込めて「Footy」と呼ぶ。

🔗 AFL(オーストラリアンフットボールリーグ)公式サイト →
☘️ ゲーリックフットボール(Gaelic Football) 発祥:アイルランド 1884年規範化
ゲーリックフットボールの試合

サッカーとラグビーの動きを組み合わせたような競技で、ボールを足で蹴ることも手で叩いてパスすることもできる。ただし、ラグビーのように手で投げることは認められていない。アイルランドの伝統文化の象徴的な一面を持ち、GAA(ゲーリック・アスレティック・アソシエーション)が1884年に現代的なルールを制定した背景には、イギリスから流入したサッカーやラグビーに対抗し、アイルランド固有の競技を守ろうとする意図があった。今日でもアイルランドで最も視聴者の多いスポーツのひとつだ。

🔗 GAA(ゲーリック競技協会)公式サイト →
🍁 カナディアンフットボール(Canadian Football) 発祥:カナダ 19世紀60年代
カナディアンフットボールの試合

アメリカンフットボールと見た目はよく似ているが、細部に明確な違いがある。フィールドが広く(長さ110ヤード)、1チーム12人制で、攻撃権は3回のダウンしか与えられない(アメリカンは4回)。さらに「ルージュ(Rouge)」と呼ばれる独自の1点加算ルールも存在する。19世紀60年代にカナダの大学で発展し、アメリカンフットボールと同じラグビーの系譜を引きながら、カナダ独自の形に育ってきた競技だ。

🔗 CFL(カナディアンフットボールリーグ)公式サイト →

さらに古い「祖先」たち

時代をもっとさかのぼると、現代Footballの源流と見なされる球技がいくつか存在する。

名称地域概要
蹴鞠(Tsu Chu)中国漢代にまで遡る軍事訓練・娯楽。足でボールを網の穴に蹴り込む競技で、FIFAも世界最古の「蹴る競技」として認めている
ハルパストゥム(Harpastum)古代ローマ身体接触を重視した小さなコートでの球技。兵士の訓練種目として用いられた
エピスキュロス(Episkyros)古代ギリシャ二チームがボールを奪い合うチーム競技。蹴ることも投げることも可能で、ヨーロッパの球技の原型のひとつとされる
まとめると:「Football」を名乗る主要な現代スポーツは6種類——協会式フットボール、ラグビー(ユニオンとリーグの2系統)、アメリカンフットボール、オーストラリアンフットボール、ゲーリックフットボール、カナディアンフットボール。いずれも19世紀のイギリスのパブリックスクールで乱立していたルールの整理を出発点としながら、それぞれ別の土地で独自の形に育っていった。同じ名前を持ちながら、中身はまるで別物——というのも、スポーツの歴史の面白さのひとつだと思う。
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