日本で投資を始めようとすると、まず証券会社をどこにするか迷います。SBI証券と楽天証券が大多数の人にとって最初の選択肢で、野村や大和といった老舗がその後ろに控えている。そこへ最近、香港上場の富途控股(Futu Holdings)傘下のmoomoo証券という名前がよく話題に上るようになりました。
日本に13年住んでいる自分から見ると、moomooは本土の証券会社とは明確に異なる方向を向いています。商品の幅ではなく、データツールと米国株の取引環境で差別化を図っている。この記事では、SBIや楽天との比較を中心に整理してみます。
三種類の証券会社、三つの考え方
日本の証券会社はざっくり三つに分けられ、それぞれ重点の置き方が違います。
| 比較項目 | moomoo証券 | ネット証券(SBI・楽天) | 伝統的証券(野村・大和) |
|---|---|---|---|
| 主な位置づけ | 投資データプラットフォーム+米国株取引 | 総合金融サービス(ポイント・投信・iDeCo) | 対面相談・富裕層向け資産運用 |
| 米国株取引 | 24時間、約7,000銘柄 | 時間限定、約5,000銘柄 | 銘柄少なく手数料高め |
| 国内株手数料 | 条件なし0円 | 電子交付設定後0円 | 取引額に応じた割合で徴収 |
| データ・ツール | 全員無料でLevel 2、機関投資家動向、AI分析 | 基本チャートのみ、上位ツールは有料または資産基準あり | アナリストレポートに依存 |
| 商品の幅 | 日米株・NISA・一部ETF | 非常に広い(投信数千本・iDeCo・債券・FX) | 全品揃い、自社ファンド中心 |
moomooが際立っている点
データツール:プロ向け情報を無料で開放
ここが本土のネット証券との差が最も目立つところです。SBIや楽天でLevel 2の板情報(買い板・売り板の逐一明細)を見るには、有料プランへの加入や一定の資産残高が必要なことが多い。moomooはこれを全ユーザーに無料で開放していて、米国株・日本株ともに対象です。
さらに機関投資家の保有動向追跡(バークシャー・ハサウェイやブラックロックといった大手の保有変化をそのまま確認できる)、AIによるチャートパターン認識、財務診断ツールなども用意されています。富途の香港向けプラットフォームではすでにおなじみの機能ですが、日本市場に持ち込まれたことで、個人投資家には新鮮に映るようです。
米国株:24時間取引と幅広い銘柄数
SBIや楽天も米国株に対応していますが、通常は通常取引時間と限られた時間外取引のみです。moomooは6,000銘柄以上の米国株・ETFを24時間ノンストップで取引できるようにしています。日中は仕事があって、夜間や深夜にしか操作できないという人には、この時間の差は実際に効いてきます。
銘柄数もmoomooの約7,000はSBIや楽天を上回っており、マイクロキャップ株や新規上場銘柄も多く含まれています。特定の投資方針を持つ人にとっては選択肢の広さがそのまま価値になります。
国内株手数料:手続き不要の0円
SBIや楽天も国内株の現物取引手数料を無料にしていますが、多くの場合「電子交付」への切り替えをユーザー側でバックオフィスから設定する必要があります。moomooはその種の前提条件がなく、設定に不慣れな人でも迷わず使えます。
グローバルコミュニティ
moomooには投資コミュニティ機能があり、米国・シンガポール・香港の投資家の議論を(翻訳付きで)リアルタイムで確認できます。国内証券会社のアプリにはほぼない機能で、海外市場の空気感を手軽につかみたい人には参考になります。
物足りない部分も正直に
moomooの日本向けサービスは現時点では日米株とNISAが中心で、iDeCoや投資信託といった日本の個人投資家が長期で積み上げていく定番商品にはまだ対応していません。信用カードのポイントを使って投信を積み立てたい、あるいは老後の年金口座を管理したいというニーズには、SBIや楽天のほうがずっと手厚い。
moomooは「米国株とデータツール」に絞った専門型で、何でもこなせる総合型ではありません。それ自体は問題ではありませんが、自分の投資の重心がどこにあるかで評価が変わります。
向いているのはどんな人か
moomoo証券の強みは、無料で使えるプロ向けデータツール(Level 2・機関投資家動向・AI分析)と、より充実した米国株取引環境(24時間・約7,000銘柄)にあります。国内株の手数料はSBI・楽天と横並びですが、設定の手間が少ない点で使いやすい。一方、iDeCoや投資信託といった日本の長期投資の定番には未対応で、その面ではSBIや楽天にはまだ及びません。どちらかを選ぶというより、投資の重心に合わせて使い分けるか、口座を併用するのが現実的な判断だと思います。
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