特定在留カードとは何か、なぜ報道されないのか

特定在留カードとは何か、なぜ報道されないのか

2026年6月14日から、在留カードと個人番号カード(マイナンバーカード)を一体化できる新しい仕組みがスタートしました。「特定在留カード」と呼ばれるもので、特別永住者の場合は「特定特別永住者証明書」という名称になります。これは2024年に行われた出入国管理及び難民認定法の改正に伴う変化の一つです。ただ、同じ改正で話題になった「育成就労制度の創設」や「永住許可の取消条件の拡大」と比べると、特定在留カードについてはほとんど報道されておらず、在留外国人の間でもまだ知らない方が多い印象です。今回はこの制度について整理してみます。


なぜ報道されなかったのか


2024年の入管法改正には複数の内容が含まれていましたが、メディアの注目は主に二つの点に集まりました。一つは技能実習制度に代わる「育成就労」制度の創設、もう一つは永住者の資格取消条件の拡大です。どちらも在留外国人の生活の安定に直結する内容であり、報道の的になるのは自然な流れだったと思います。

それに対して特定在留カードが解決しようとしているのは、在留カードと個人番号カードの情報をどう同期させるかという、比較的技術的な課題です。誰が日本に残れるかという話ではなく、行政手続きの効率化に近い性質のため、メディアがあまり紙面を割らなかったのも理解できます。しかし、在留カードと個人番号カードの両方を持っている人にとっては、実際には窓口を何度も往復する手間を減らせる、地味ながら有用な制度だと感じます。


この制度が解決する課題


この制度が導入される前は、個人番号カードを持っている中長期在留者が地方出入国在留管理局で在留資格の変更や更新などの手続きを行っても、カードに記録された情報は自動的には更新されませんでした。そのため、別途市区町村の窓口に出向いて、個人番号カードの情報更新手続きを単独で行う必要がありました。二つの窓口を別々に回らなければならない点は、多くの人にとって地味な負担になっていたはずです。

特定在留カードの仕組みは、この二枚のカードを一枚に統合するというものです。特定在留カードの交付を受けた後は、入管で関連手続きを行えば、個人番号カード機能の情報も連動して更新されるため、わざわざ市区町村の窓口に足を運ぶ必要がなくなります。


対象者と、取得は強制かどうか


対象となるのは、住民基本台帳に記録されている中長期在留者(特定在留カードに対応)、または特別永住者(特定特別永住者証明書に対応)です。

このカードに切り替えるかどうかは完全に本人の意思に委ねられており、強制ではありません。切り替えたくない場合は、これまでと同様に在留カードと個人番号カードを二枚別々に持ち続けることも可能で、日常生活に影響はありません。ただし注意したいのは、この制度導入と同時に通常の在留カードの様式自体も変更される点です。つまり特定在留カードを希望しなくても、交付されるのは新しい様式の在留カードになります。


券面の記載事項とICチップに移る情報


特定在留カードの表面には、氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、在留期間の満了の日、在留カード番号、有効期間の満了の日、就労制限の有無などが記載されます。個人番号(マイナンバー)はカードの裏面に記載されます。

注意したいのは、現行の在留カードでは券面で直接確認できた「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」「交付年月日」の四つの項目です。新しいカードではこれらが券面には記載されず、ICチップにのみ記録される形になります。確認するには読み取り作業が必要になるということです。


申請方法とタイミング


ここで見落としやすいのが、特定在留カードの交付申請は単独では行えないという点です。必ず他の手続きと同時に申請する必要があります。

地方出入国在留管理局での手続きとしては、在留カード記載事項の変更届出、在留カードの有効期間更新申請、汚損等による再交付申請、在留期間更新許可申請、在留資格変更許可申請、永住許可申請などと同時に申請することができます。

市区町村の窓口では、新規上陸後の住居地届出、在留資格変更等に伴う住居地の届出、住居地の変更届出などと同時に申請する形になります。

すでに通常の在留カードを持っていて特定在留カードに切り替えたい場合は、地方出入国在留管理局で「交換希望による在留カード再交付申請」と併せて申請することになります。


必要書類と手数料


必要書類としては、特定在留カード交付申請書(申請先に応じた様式)、暗証番号設定依頼書、6か月以内に撮影した写真1葉(無帽・正面・背景なし)を準備し、あわせてパスポートと現在の在留カードを提示する必要があります。

2026年6月14日以降、初めて手続きを行って交付を受ける場合は手数料が不要です。それ以降、交換希望などの理由で再度手続きする場合は手数料が発生します。費用は二種類に分かれており、入管に対するもの(1,900円、直送の場合は2,600円)と、J-LIS(地方公共団体情報システム機構)に対するもの(600円、電子証明書の発行を受ける場合は800円)があります。


気をつけたい点


一つ目は、オンライン申請には対応していないという点です。在留関連の手続きをオンラインで行う場合、特定在留カードの同時申請はできないため、窓口での対応が必要になります。

二つ目は、交付までの時間が通常の在留カードより長くかかる点です。10日ほど余分にかかり、即日交付はできません。

三つ目は、個人番号カード機能の有効期間が、もともとの在留期間の満了の日までとなっている点です。在留期限が近づいているのに入管側の手続きが終わっていない場合、在留期間の満了日までに市区町村で個人番号カード機能の有効期間変更手続きを別途行う必要があります。これを行わないと、マイナ保険証として使えなくなる可能性があります。

四つ目は、特定在留カードもあくまで在留カードである以上、常時携帯義務はそのまま課せられる点です。個人番号カードと一体化したからといって免除されるわけではありません。

五つ目は、マイナ保険証やマイナ免許証としても利用できますが、免許証機能については、これまでのカードに記録されていた免許情報が新しいカードに自動的には引き継がれない点です。運転免許センター等で別途記録手続きを行う必要があります。


おわりに


特定在留カードは、世間を騒がせるような大きな話ではなく、行政手続きの連携上にあった地味な不便さを解消する制度です。報道でほとんど取り上げられなかったのも、それを考えれば無理のないことだと思います。ただ、個人番号カードを持っていて、入管で手続きをする機会が多い方にとっては、市区町村の窓口を別途訪れる手間を省ける、実用的な仕組みだと言えます。切り替えるかどうかはご自身の状況に応じて判断すればよく、切り替えなくても今の生活に支障はありませんし、切り替えても特別な手間がかかるわけではありません。詳細を確認したい場合は、出入国在留管理庁の公式サイトにQ&Aやリーフレットのpdfが掲載されているので、そちらを参考にしてみてください。

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