2025年4月、電気代・ガス代が一斉値上げ——普通の家庭はどう受け止めるべきか?

毎年春になると、値上げのニュースが飛び込んでくる。でも2025年4月は、いつもとちょっと違う。

大手電力10社と大手都市ガス4社が一斉に発表した。4月使用分(つまり5月の請求書)から、電気代とガス代が全社値上がりになると。平均的な家庭で試算すると、電気代は月393〜463円アップ、ガス代は148〜195円アップ。合わせると、ざっくり毎月500〜600円ほど余分にかかる計算だ。

「たったそれだけ?」と思うかもしれない。でも問題は、これが「今月だけ」の話じゃないということ。


光熱費上昇
光熱費上昇

なぜ今、値上がりするのか

今回の値上げには、二つの要因が重なっている。

1.政府の補助金が3月末で終了した。

ここ数年、世界的なエネルギー価格の高騰と円安の影響を受けて、日本政府は公的資金で家庭の電気・ガス代を一部肩代わりしてきた。その累計額は、電力・ガス・ガソリン補助金を合わせて11兆円にのぼるとも言われている。当然、この資金は無限ではない。補助金が終われば、価格は本来の水準に戻る。今回の値上がりは、ある意味「先送りにしていたコストが表に出てきた」と言えるだろう。

2.再生可能エネルギー賦課金(再エネ賦課金)の単価が引き上げられた。

毎月の電気代に含まれているこの費用、意識している人は少ないかもしれない。経済産業省は2025年度の再エネ賦課金単価を1kWhあたり3.98円に設定した。2024年度の3.49円から約14%の引き上げとなり、月400kWh使用する標準的な家庭では月額1,592円、年間で約1万9,000円の負担となる。電気代全体の約1割を占めるこの金額は、無視できる水準ではない。


根本的な問題:日本はエネルギー価格の上昇に弱い

今回の値上がりで気になるのは、請求書の金額だけではない。日本のエネルギー構造そのものだ。

日本のエネルギー自給率はわずか約11.8%で、OECD加盟国の中でも特に低い水準にある。エネルギー需要の約90%は、海外から輸入する石油・石炭・液化天然ガス(LNG)で賄われている。

これが何を意味するかというと、中東情勢が緊迫したり、LNGの供給が滞ったりすれば、そのコスト増が時間差で電気代に直撃するということだ。補助金でしばらく抑えることはできても、構造的な脆弱性は変わらない。

実際、研究者の分析でも「近年の電気代高騰の主因は再エネ賦課金ではなく、化石燃料の輸入価格の急騰にある」と指摘されており、日本の電気代はLNG価格の動きに強く連動していることが確認されている。


インフレはまだ続いている

エネルギーの値上がりは、物価全体が上昇するなかの一コマに過ぎない。

2025年4月の国内企業物価指数(PPI)は前年同月比4.0%上昇し、8か月連続で過去最高を更新した。電気・ガス代は補助金の停止により前年比10.1%上昇。農林水産品は米価急騰などの影響で同42.2%上昇。弁当やチョコレートなどの食品も原材料費・物流費の転嫁で3.6%上昇した。

エネルギーが高くなれば、輸送も生産も高くなる。結果として、あらゆるものの値段が上がる。この連鎖は、今まさに日本で起きている。さらに懸念されるのは、ここ数年、名目賃金の上昇が物価上昇に追いつかず、実質賃金がマイナス圏で推移してきたことだ。これが消費の低迷につながっているとも指摘されている。払うものは増えているのに、手取りが追いついていない——そんな実感を持っている人も多いのではないだろうか。


正直、個人でできることは限られている

電気代もガス代も、削ろうにも限界がある固定費だ。冷暖房、料理、お風呂——現代の生活の快適さは、ほぼエネルギーの上に成り立っている。

節電・節ガスの努力はもちろん意味がある。より根本的なアプローチとしては、屋根への太陽光パネル設置など自家消費型の発電を導入することで、電力の購入量を減らし、再エネ賦課金の実質的な負担を抑えることができる。ただし初期投資が必要で、賃貸住まいの人には現実的ではない選択肢だ。

より現実的な向き合い方は、「これが新しい日常だ」と受け止めることかもしれない。補助金という緩衝材が外れた今、光熱費は構造的に高い水準で推移する可能性が高い。家計全体を見直し、ほかの支出でバランスを取る意識が、これからの生活では求められてくるだろう。


一言でまとめると

今回の値上がりは、補助金終了と再エネ賦課金引き上げが重なった結果だ。しかしその背景には、エネルギーの約90%を輸入に頼り、国際市場の動向に振り回されやすいという日本の構造的な課題がある。短期的な解決策はなく、生活コストの上昇を前提に、家計の組み立てを考え直す時期に来ているのかもしれない。